ペインクリニックについて

第4回 - 硬膜外(こうまくがい)ブロックについて

第4回 - 硬膜外(こうまくがい)ブロックについて

ペインクリニックは神経ブロック療法を治療に用いることが特徴です。神経ブロックとは痛み(ペイン)の原因となる部位や痛みを感じる神経(知覚神経)、血管を収縮させる神経(交感神経)の近くに局所麻酔薬を注入して、神経の伝達を一時的に遮断(ブロック)する方法です。

神経ブロックは何十種類もあり、疾患や症状によって選択します。ここでは、前回お話した腰椎椎間板ヘルニアの治療でよく行う腰部硬膜外ブロックについて説明します。

腰椎の背中側には脊髄があり、クモ膜と硬膜が周りを取り囲んでいます。脊髄から出た神経は硬膜を貫き、骨の隙間(椎間孔)を通って、腰や足に分布します。この硬膜の外側(硬膜外腔)に局所麻酔薬を注射するのが硬膜外ブロックです。

実際には、ベッドの上で左を下に横になり、膝を抱えてエビのように丸くなります。消毒後皮膚に局所麻酔をしてから、専用のブロック針をさして硬膜外腔に局所麻酔薬を注入します。所要時間は数分程度で、注射後5〜10分たつと知覚神経と交感神経に作用して、痛みが楽になり、足が温かくなってきます。この状態が約1時間続きますので、その間はベッドで安静にしてもらいます。短い時間ですが、神経や周囲の浮腫と炎症を改善して、治癒を促してやるわけです。

よく何回すればいいのかと聞かれますが、神経の傷害された程度や治癒する力によって異なり、一概にはお答えできません。初回のブロックで痛みの軽減が多い人ほど早く良くなる傾向があります。また、ブロック自体は何回しても体に対しての悪影響はありません。

ただ、ブロックができない場合があります。発熱や下痢などの急性疾患で脱水状態の場合はよくなるまでブロックはできません。心臓や腎臓病、糖尿病の方は、病気に影響がないように注意を要します。

特に血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬)を飲んでいる方は、硬膜外ブロックができない場合がありますので、受診される場合はお薬手帳を忘れずに持っていきましょう。

記事一覧