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第3回 - 無痛息災?腰椎椎間板ヘルニア?

第3回 - 無痛息災?腰椎椎間板ヘルニア?

今回は腰椎椎間板ヘルニアについてお話したいと思います。その前に腰椎や椎間板について説明を。腰椎は5個の椎体骨から構成されていて、この骨と骨の間にあるのが椎間板で衝撃吸収装置(クッション)の役割を果たしています。椎間板は中に水分に富んだゼリーのような弾力性のある髄核があり周りを線維輪が囲っています。椎間板は20代より老化(変性)が始まり、反復して力が加わると線維輪に亀裂が生じて髄核が押し出されます。線維輪を饅頭の皮、髄核をあんこにたとえて考えて、饅頭を押し潰すとあんこが飛びだしてくるのを想像すると解り易いと思います。この飛び出した髄核が脊髄から出た神経根を圧迫しているのが腰椎椎間板ヘルニアで、統計的には壮年期の男性に多く、一番下と下から二番目のヘルニアが約80%を占めます。圧迫された神経根は炎症や浮腫(脹れ)を起こし、腰痛以外に臀部や下肢痛などの症状を引き起こします。通常は安静で痛みは軽くなり、前かがみや咳、くしゃみで痛みが増強し、歩けない、靴下がはけない、洗顔ができないなど日常の何気ない動作も制限されてきます。又、痛み以外に障害された神経の分布に沿ってしびれも出てきます。この痛みやしびれは経験者でないとなかなか理解しがたいものです。

治療法については、保存療法と手術療法があります。手術療法は下肢の著明な筋力低下、膀胱直腸障害などが明らかな場合は適応があり、最近は内視鏡下での手術が多くなっています。

保存療法としては

*臥床安静、楽な姿勢で安静を保ち神経の炎症の緩和を待ちます。絶対安静ではなく、痛みの少ない範囲での日常生活は大丈夫です。

*薬物療法、非ステロイド性抗炎症薬が多く処方されます。現在は弱オピオイドといって軽い麻薬系の鎮痛薬や神経障害性疼痛薬(プレガバリン)なども使われています。内服薬は副作用もいろいろあり、年齢や腎機能などを配慮しなくてはなりません。

*ブロック療法、保存療法では一番効果的ですが次回詳しく説明します。

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