第12回 - 無痛息災
今までペインクリニックについて簡単にお話してきましたが、今回はまとめとしてよくある質問にお答えします。
Q.どういう病気が対象ですか
A.さまざまな痛みに対し治療します。①腰痛、足の痛みや痺れ(腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、変形性腰痛症、ぎっくり腰)②首の痛み、手の痛みや痺れ(頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症)③顔の痛み(三叉神経痛、舌咽神経痛)④帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛⑤慢性頭痛、膝や肩などの関節の痛み⑥痛み以外では、顔面神経麻痺、眼瞼痙攣などが適応となります。
Q.神経ブロックとは
A.長く続く強い痛みは、悪いところの血流が低下します。そして、浮腫や痛みを強くする発痛物質が蓄積し、これらが痛みを増強させ、さらに血流低下を引き起こします。これが「痛みの悪循環」です。神経ブロックは、痛みを伝える知覚神経のブロックで痛みを和らげ、血管を収縮させる交感神経のブロックで血流を良くすることにより「痛みの悪循環」を遮断し自己回復を期待します。何十種類もブロックがありますが、病気に合ったブロックを行っていきます。
Q.効果は持続しますか
A.ほとんどのブロックは約1時間で効果がなくなりますが、先ほど触れた痛みの悪循環を断つことにより自然治癒を促します。ブロック後に楽になっても薬の効果ではなく、体自体が回復しているのです。一回のブロックで変わらなくても繰り返すことで効果が出てきます。
Q.安全ですか
A.使用する局所麻酔薬は副作用も少なく体からはすぐになくなります。ブロックの手技については専門の医師が行えば安全に行えます。
Q.神経ブロックは子どもや妊婦、高齢者でも大丈夫ですか?
A.妊婦では薬の影響を考えて神経ブロックはあまり行いません。子どもは中学生以上なら可能です。高齢者は逆に神経ブロックの適応となる病気の方が多く、全身状態が良ければ積極的に行っています。
最後に、一言。痛みを知って初めて痛みのない生活が貴重に感じます。多くの方が無痛息災でいられますように願っています。