ペインクリニックについて

第2回 - 無痛息災?急性腰痛について?

第2回 - 無痛息災?急性腰痛について?

ペインクリニックの外来では多くの方が「腰が痛い」と訴えてこられます。腰痛は人間が二足歩行を始めた宿命といわれ、70〜90%の人が一生のうち一度は腰痛を経験するといわれています。ただ一言に腰痛といっても、原因や症状は様々です。痛みの経過時間的な分類では、急性(発症から4週間以内)と慢性(3ヶ月以上)に分けられます。今回は特に急性腰痛についてお話ししようと思います。

落としたものを拾おうとかがんだ瞬間や、物を持った瞬間に激痛が腰に走り、動くたびに冷や汗が出るといった経験はありませんか。よくギックリ腰と呼ばれる痛みもその一つです。これは腰椎の骨と骨の間の左右にある椎間関節と呼ばれる場所がねんざのようになって、炎症を起こしている場合が多いと思われます。腰を伸ばす(そらす)と痛みが増強するのが特徴で、腰をかがめながら痛そうに診察室に入ってこられると、「ああ、椎間関節の痛みだな」と推測しています。治療として、①安静、②鎮痛薬の内服、③リハビリテーションなどがあります。早く痛みを取りたいときや、内服しても効果がない時は神経ブロックをお勧めします。この椎間関節由来の腰痛に対しては〈後枝内側枝(こうしないそくし)ブロック〉を行なっています。レントゲン透視下でうつぶせになって椎間関節の位置を見ながら、関節に分布する知覚神経の近くに局所麻酔薬を注射します。時間はかかりません。嘘のように楽になることが多く、炎症が治まればそのまま痛みはなくなります。変形性腰椎症などの椎間関節変形にも効果があります。

最後に、腰痛で気をつけること。安静時も同じ痛みが続く場合、また、発熱を伴う場合、体重が減少している場合などは注意が必要で、尿管結石症や胆石症など内臓の病気の可能性があるからです。整形外科以外に内科など、他科の診察も必要となってきます。腰痛以外に下肢のしびれや痛みがあるときは腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の可能性が高く、治療は異なってきますので、次回にお話しします。

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