第11回 - 無痛息災 顔面の痛み 三叉神経痛について
顔面に痛みを起こす代表的な病気として典型的三叉神経痛があります。三叉神経は脳神経の一つで顔面に三つ分かれて分布します。(図Ⅰ)それぞれⅠ枝、Ⅱ枝、Ⅲ枝といい、三つに分かれるため三叉神経と呼ばれています。
症状として、顔の半分に突然激烈な痛みを生じます。ビリッとしたナイフで切られたような痛み、焼け火箸を突っ込まれたような痛みで、数秒から2分ほど続きます。それが何回も繰り返し起こるため非常に辛い病気です。洗顔、食事、会話などで痛みが誘発されますが顔の表面は異常がありません。又歯茎も痛むことが多く、抜歯をされた方もいます。経験的に、Ⅱ枝が多く(図Ⅰの赤)その部分を軽く触れるだけでビリッとした痛みがきます。
原因は頭蓋内で三叉神経節が血管によって圧迫されて起こります。治療としてまず内服薬から行います。第一選択薬はカルパマゼピン(抗けいれん薬)で三叉神経痛に良く効きます。ただ、ふらつきや蕁麻疹(薬疹)が出ることがあるので、少量から内服して状態を見ながら効果がでる量まで増量していきます。他に有効な薬としてバクロフェンとプレガバリンがあり時に併用します。内服で十分コントロールできて副作用がなければそのまま様子を見てもいいでしょう。薬の効きが悪い、副作用のため内服できない場合は神経ブロックを行います。痛みの原因神経を神経破壊薬(99%エタノール)で麻痺させますが、長期間痛みを感じない代わりに痺れが出てきます。エタノールの替わりにハリ先のみ80度の温度になる特殊な機械を使って行う高周波熱凝固法もあり、どちらかを選択します。